遥か遠い日々が偲ばれるは
春 軒先 桜 二人
掠めながら
三十一文字
あの国の心を知った
暇を乞う岬
餞は芳春の吹雪 徒桜よ
月日流れ
海を越えた
西風に懐かしさ覚ゆ
神の国に生きる
侘しき人よ
今も健やかにあれ
滲む目露に
十余年の暮らし宿りて やや光り
掠れゆくは
あの季節と共に生きる言葉 然り
遥か故き日々よ 惜しむらくは
春の奇跡 桜 ひとり
徒となりて
三十一文字
彼らの魂 異国に舞う
上の句に接げる
雅やかな声
春の香りと散りて
白く染めつつ滅びゆかん
春の奇跡 桜 ひっそり
愛でられては
三十一文字
あの国の心舞った
2011.5.16作
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