水鏡

 

 

目が眩むのにそこは 夜の真ん中だった


深く 深く 潜ったつもりでいた躰は 水面に横たわったままだった
薄く 薄く 傾いた 真昼に見惚れた月は 深く 淵へと命を 預けるように誘った

揺らぐ 月明かりに押され 影が水面に散った
嗤う 風に煽られ さざめいた花弁


月の差す水は遠い ぼとり落ちる一秒間


深く 深く 潜ったつもりでいた躰は 水面に横たわったままだった
黒く 黒く 湛えた水面に飛び込む月は誘う 声の届くほうへ 光を強く放った

そよぐ 誘いの谺 風を呼び醒ました
波立つ水に攫われた 二片 三片……


揺らぐ 月明かりに押され 影が水面に散った
嗤う 風に煽られ さざめいた花弁


月の差す水は遠い ぼとり落ちる一秒間


目が眩むのにそこは 夜の真ん中だった

 

 

                               2009.1.30作

 

 

 

 

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