あいしてたいな

 

 

「世界を水際へと歩いてみると 淋しいかな 独りになった」

どうやら必然の在り方みたい
ならば今せめてもの愛を

願う

些細なことでお互いを責め合いし
いつだってそうであるわけじゃないけど

「不要≠無駄」というのなら
それさえも愛でたくて

最期に見届ける背に
今 生きた私が
仮初めでも 愛が

愁いの宵闇に紛れながら
朝を満たすように
謳えればいいんだけどな

「逝かないで……」


黄昏が染める赤い信号に
停まれない
人は止まれない

いずれ かの星迎いの舟の縁で
泣いたまま 消えて 逝く

だから 最期に見届ける背に
今 生きた私が
仮初めでも 愛が

愁いの宵闇に紛れながら
朝を満たすように
謳えればいいんだけどな


How to~本で示された欲の在処など
ここにはなくて

互いの仕様で築いた関係の名は
空いたまま でも 今

心地がいい


今夜のデートで浮かべる

「ありがとう」
どんな顔を どんな声を

最期に見届ける背に
今 生きた私が
仮初めでも 愛が

愁いの宵闇に紛れながら
朝を満たすように

謳えるかなあ

あなたの消えてしまう瀬に
近づけるように……

今日も
愛していたいな


いつかの出逢いが
苦くも描いた
明日を抱いた
“あいしてたいな”

愛して泣いた
なんて 大してないが
愛していたいな
死別れって痛いな

だから あいしてたいな……

出逢いと願いが出合う日の手向けに

 

 

                                2010.8.5作

 

 

 

 

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