ひばり

 

 

開けたままの 冷蔵庫
まな板で眠る レモンの匂い
伸びた前髪を払えば 君
やけに綺麗だよと言えば
口許に 手を

遣る

また 遣る

網戸を這う 雲は丸くて
時と時の廻間で 消えていった
午後を読む 眠りの手
インクの切れたボールペンで 契約

夢の続きを 切れ端から まさぐって
通い慣れた空に もう一つ色を 足してみる


子どもを示唆する 軋むブランコ
はしゃいだら蜻蛉は 何処に休むの?
休めばいいの?

業厄のシンフォニーを 目尻の皺が 解いて
クレバスのような日と日とを 紡いで生く

夢の続きを 切れ端から まさぐって
通い慣れた空に 難色でも 足してみたい


明日の雨がもっと 意地を張って
燻りも見えたなら 風を受け入れて
番の青い影も 踊るだろうに

 

 

 

                                2010.6.2作

 

 

 

 

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