この町を出るにあたり
思いの丈 洩らさせてくれ
アスファルト 並ぶ影法師

最後かな 最後かな……

石油ヒーター ファンの音
煩わしいねって 消した後
温もりと換わる静謐で

震えたね 震えたね……

着古したカーディガンの

袖もいつしか糸が解れて
痛い 痛い 居たい……
泣きそうは 君も

短い髪が 短い髪が 短い髪が
肩を越える頃
ぼやけて見える景色に
僕は居ない


微睡の途切れた
長く続くあくびで
目映かったのは何かさえ

忘れた
忘れてしまった……

洗い浚いぶちまけられず
会話の糸は解けて
居ない 居ない だから 居たい……
泣きそうは 僕で

短い髪が 短い髪が 短い髪が
マフラーを隠す頃
きっとおどけた君が増えると
予想は簡単で

短い間 短い間 短い愛が
過る静謐の
その暮らしを終えた頃に
僕は 居ない

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2009.12.19作

春の雨　←　　　→　クリスマスツリー街