『わくらば』

 


僕が読み耽た 大事にしていた小説は
君と思い出に貸し出したまま

一つ 二人して読めない言葉があったけど
やっとわかったよ
君と別れて 一年もの後に

『巡り逢えた』
その意味に君は背中を向けた
夏の終わりに枯れ落ちた 木の葉のように……


今は何もない君の部屋までの帰り道
空に誘われてまた辿るけど

穴の空いた様に 蝕まれた木の葉のように
僕の目が捉えるのは
君のいない風景ばかりで……


『巡り逢えた』
その意味に君は背中を向けた
僕はまだ人混の中で
一枚の木の葉を探している

枯れ落ちたことさえも知らずに
あのままの君を探している……


一つ 二人して読めなかった言葉の意味が
君の色を変えたこと ただ悲しくて……

こんなに早く枯れる木の葉があるなんてことを
僕は知らないままでいたかったよ

あのままの君を探している……

 

 

                               2007.7.23作

 

 

 

 

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